地中海の気候に育まれた
イタリア製コードバン
イタリアで革のなめし技術が用いられるようになったのは、紀元前8世紀のエトルリア文明が最初だと言われています。1282年にはフィレンツェで皮革労働組合が誕生。品質基準を定めたことで国際的な評価も高まりました。なめし工場はフィレンツェからピサまで流れるアルノ川沿いに集まっていて、その中間に位置する革の街が、ROCADO社のあるサンタ・クローチェになります。人口約1万5000人のこの街が、世界に誇るイタリアンレザー生産の中心地なのです。

原皮商がタンナーに挑戦することで
得られた、一貫生産の強み
ROCADO社は1982年に原皮商として創業。ポーランド産の農耕馬から採れる原皮などの輸入販売を行っていましたが、近年になり、コードバンの製造をスタート。一般的に原皮商とタンナーは別の会社であることがほとんどで、コードバンを製造するにあたって最も難しいのは原皮の確保だと言われる中、原皮の仕入れからフィニッシュまでを自社で一貫して行えるのはROCADO社の強みのひとつ。大きくて厚みのある良質な原皮を扱えるからこそ、優れたコードバンを作ることができるのです。



イタリアンレザーを生み出した伝統技法を
コードバン作りに採用
原皮商とタンナーは似て非なるもので、必要な知識や技術も違えば、設備も異なります。そこを原皮商であるROCADO社はイチからしっかりと勉強し、研究を重ねながら、タンナーとして理想のコードバンを生み出すことに成功しました。もともとイタリアンレザーはイギリスのブライドルレザー、アメリカのコードバンと並ぶ、世界三大レザーのひとつに挙げられるほど品質が高く、革の加工技術には定評があります。その原動力ともいうべき伝統技術の数々をコードバン作りに巧みに取り入れた柔軟性も、ROCADO社が成功した要因と言えるでしょう。



イタリアに受け継がれる伝統技術

バケッタ製法によるしなやかなコードバン
ROCADO社のあるイタリア・トスカーナ地方で、悠久の時を経て培われてきたなめしの伝統技法のひとつがバケッタ製法です。植物の樹皮や葉などに含まれるタンニンと呼ばれるポリフェノールの一種を複数組み合わせ、オイルと一緒に皮に染み込ませることでなめす手法で、タンニンとオイルのさじ加減を調整することで、コシがあってやわらかい革に仕上げることができます。その配合は作り手によって異なり、それがタンナーによる個性の違いを生み出し、イタリアンレザーの世界に底知れぬ奥深さをもたらしているのです。