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Vol.6 【GANZO本店 職人インタビュー】

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先月、受注をスタートしたGANZO本店限定「ミニマムウォレット」。

連日多くのお問い合わせやご注文を頂き、本当にありがとうございます。

受注数も当初の予想を上回り、今ご注文を頂くお客様にはお渡しが早くて4月下旬頃とお伝えしている状況です。

職人が1人で製作しておりますので、受注数が増えますと、ここから更にお渡し時期が延びる可能性もございます。

もしご検討中の方がいらっしゃいましたら、お早目にご注文を頂ければ幸いです。

 

ミニマムウォレットについてまだ知らないという方は、ぜひこちら↓をご覧ください。

 

Vol.1 【これまでの軌跡、これからのGANZO】

Vol.2 【理想の形を追い求めて】

Vol.3 【まだ見ぬ革を探す旅】

Vol.4 【ついに完成!本店限定ミニマムウォレット】

Vol.5 【GANZO本店限定 ミニマムウォレット販売スタート】

 

さて、これまで様々な角度からミニマムウォレットの製作過程をお伝えさせていただきましたが、

実際その財布を作っている職人さんってどういう人?と思われている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は度々ブログの写真でも登場し、GANZO本店のパターンオーダーの製作や

ミニマムウォレットの考案者でもある職人の小平さんにインタビューを行い、

今までの経歴も含めて色々お話を伺ってみました!

 

インタビュアーはスタッフの渡部が務めさせていただきます。

 

 

 

──【渡部】まず初めに、小平さんが革に興味を持ったきっかけはなんですか?

【小平】大学に入学して最初に買ったワークブーツがきっかけかな。学生時代、探検部というキャンプやフィールドワークを手段として活動する部活に所属していて、新入生のときにダナーライトを買ったんだけど、手入れすればするほど艶が出て変化するから、それで革が好きになったんだよね。当時は自分でよく磨いてはそれを眺めて楽しんだり、実際履いていたそのブーツはソール交換を何度もして15年くらい愛用してたかな。

 

 

──【渡部】なるほど、それで革が好きになったんですね。大学卒業後、革業界に入ったんですか?

【小平】大学卒業後は靴職人になりたいと思って靴の専門学校に入ったんだよね。1年間そこでしっかり学んで、卒業後は靴の修理の会社に就職して働いていたよ。

 

 

──【渡部】それは初耳でした!そこから財布の職人を目指したきっかけはなんだったんですか?

【小平】靴の修理を専門にやっていたんだけど、やっぱりこの業界に入ったからには自分で考えたものを作りたいと思って。それに当時、将来的には自分のブランドや店を持ちたいと憧れていて、そう考えたときに、財布とか小物の方が個人でも始めやすいって思ったのも大きいかな(笑)

 

 

──【渡部】そうだったんですね(笑)でも靴と財布だと全然造りも違いますよね?

【小平】全然違うね。でも学生時代に趣味で財布を作ったりしていて、100均で売ってる財布を買って、どうゆう構造になっているのか分解して調べたりしてたんだ。パッと見だと分からないカード段や財布のマチ部分の構造も、実際にバラしてみることで、ここでステッチを入れているからきちんと留まるんだっていう仕組みが分かるんだよね。そういうのを繰り返していて、そのうち友達に頼まれて財布や時計ベルト、小物入れを作ってあげたりしたこともあったよ。

 

 

──【渡部】手先が器用だったんですね。当時はどういう財布を作っていたんですか?

【小平】当時は手縫いで作ってたから今とは比べ物にならないけど、カーフとか薄い革を使って裏張りなしで縫製したりしてたよ。手縫いというとバイカーの人が持つような割りと無骨なイメージのものが多いけど、個人的には精密で小奇麗な財布が好きだったから、どちらかというとクラシックな形が多かったかな。

 

 

──【渡部】そう聞くとGANZOのイメージに近いかもしれないですね。ちなみにGANZOとの出会いは?

【小平】財布の職人になりたいと思って求人を探したときに、たまたま職人募集の記事を見つけて。それで面接を受けに行って、そのとき面接をしてくれたのが今もGANZOのディレクターを務めている儀郎さん。そこで今まで自分の作った財布や靴、ショルダーバッグを見てもらって、有り難いことに気に入ってもらえたことがきっかけなんだ。

 

 

──【渡部】実際に入社してからはどうでしたか?

【小平】やっぱり最初は大変だったね。今まで自己流でやってきただけだったから、当初はコバの仕上げ方も全然知らなくて、ベテランの職人さんに囲まれながら財布作りの基礎を一から叩き込まれたよ。苦労したことも多かったけど、それ以上に新しいことを吸収するのが楽しかったかな。

 

 

──【渡部】ズバリ、職人のやりがいは何ですか?

【小平】例えばパターンオーダーにしても、同じ形をひたすら作っていても、一個一個考えながら作る。惰性にはしない。「ここを改善したらもっと良くなる、綺麗に仕上がる」それを繰り返していると、出来上がった際に目に見えて成果として現れるからそれが本当に楽しくて。知らないことを吸収したり、自分でやったことのない形にチャレンジして自分自身を成長させていけるのが大きなやりがいかな。でもこれは職人に限らず、どの職種にも共通する部分かもしれないね。

 

 

──【渡部】新しい形は見ているこちらもワクワクします。過去にも何かチャレンジした形はありますか?

【小平】7、8年前に店舗限定でシェルコードバンを使ったメダリオンの長財布を作ったことがあったよ。靴ではよく見かけるのに、財布ではそういった装飾がないなと思って。その後に長財布と合わせて使えるようなメダリオンの馬蹄小銭入も考えて作ったんだけど、パターンオーダーの受注が忙しくなってお蔵入りになってしまったんだけどね(笑)でもこういう新しい形はどんどんチャレンジしていきたいかな。

 

──【渡部】小平さんはモノづくりに対して実直ですよね。今回考案したミニマムウォレットにも通じてる気がします。

【小平】”縫い目のない財布をいつか作ってみたい”というのは前々から思っていて、頭の中でずっと構想は練っていたんだ。どういう形が理想的か布団に入ってからもずっと考えたり、頭がさえて気づいたら朝だったりすることも(笑)。基本的に小さい財布が好きで、趣味で財布を作っていたときも小さくて小奇麗なものが多かったから、今まで以上に無駄なスペースや工程をなくして、より小さくて薄い財布が実現できないかって。ずっと職人になってから漠然と作りたいと思っていた形が、試行錯誤の末ようやく具現化できた感じかな。

 

──【渡部】特殊な形状ですが、ミニマムウォレットの特徴や拘りを教えてください!

【小平】一つは立体的な構造になっていること。通常はカード、小銭、お札を入れると、どうしても厚みが増してしまうけど、この形は予め”マチ”を設けているから、カードや小銭を収納した後もあまり膨らまないのが特徴かな。お札入れ部分も2㎜のマチをつけているからスムーズに出し入れができるし、カードポケットの持ち上がる仕様や小銭入れ部分も蓋が自然と戻るように、貼り合わせのとき、革を曲げながら圧着したり、一見外からは見えない部分に拘りが詰まってるね。

 

──【渡部】ミニマムウォレットの製作にあたってどこが一番大変ですか?

【小平】一番は革の厚み。厚すぎるとアタリが出てしまったり、薄すぎても耐久性が劣ってしまう。でも正直言えば、どの工程も重要で油断できないっていうのが本音かな。例えば通常の財布だとカード段や小銭入れなどのパーツをそれぞれ製作して、最終的に一つの形に組み立てるけど、この形状は小銭やカード段のパーツが一体になっているから同時に組み立てていかなくちゃならなくて(汗)。ミニマムウォレットの場合ステッチを使わないから、革漉きにしても接着にしても、どれか失敗すると修正がきかず、一から作り直し。特に接着するときは1ミリもずれないように貼らないと、最後形としてまとまらないから、どの工程も細心の注意を払わないといけないね。

 

 

──【渡部】最後に、小平さんが思うプロフェッショナルとは?笑

【小平】え、それ聞く(笑)まさかの質問だなぁ。何も質問の準備してこなかったからあれだげど、、、。しいていえば、「自分の好きなことをとことん突き詰めること」かな。「突き詰めて、それを周りの人に何かしらの形で還元できる人」がプロフェッショナルな人なんだと思う。そんな偉そうに語れるような人間じゃないけど、こんな形で大丈夫でしょうか、、、笑

 

 

──【渡部】大丈夫です!笑 小平さん貴重なお時間ありがとうございました。

 

 

 

今回、小平さんから色々お話をお伺いし、改めてモノづくりの奥深さや楽しさを知ることができました。

このインタビュー記事を通して、ミニマムウォレットの魅力を知っていただきたいというのはもちろんですが、

それを実際に作っている小平さんの人となりや魅力について、少しでも皆さんに知っていただければ幸いです。

 

ぜひお時間ございましたら、ミニマムウォレットの現物を見に、そして小平さんに会いに店舗へお越しください!

皆様からのお問い合わせ・ご来店お待ちしております。

 

 

GANZO本店

東京都渋谷区神宮前5-2-7

TEL 03-5774-6830

MAIL   ganzo@ajioka.jp

11:00 〜 20:00

 

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