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GANZO X ZOUGANISTA vol22

GANZO ✕ ZOUGANISTA木と革のコラボレーション

イタリアの展示会 -PITTI IMMAGINE UOMO でのZOUGANISTA 望月貴文氏との出会いにより、今回の異素材コラボレーションが実現。イタリアと日本、それぞれの作り手の”技術”と”想い”を込めた作品がここに誕生しました。

象嵌とは

「象嵌」とは

象嵌(ぞうがん、象眼)は、工芸技法のひとつ。
象は「かたどる」、嵌は「はめる」と言う意味を持ち
一つの素材に異質の素材を嵌め込んだものを、象嵌と呼ぶ。
金工象嵌、木工象嵌、陶象嵌等あるが、今回の取り組みは「木工象嵌」である。

制作工程

  • pic01

    工程1:約5mm厚の木の板(白い木:オリーブ/濃い木:ローズウッド)を型に合わせカット。

  • pic02

    工程2:糸鋸で文字をカット。カット時に割れないよう3mmほどのベニヤ板に挟む。※実際に使用する板は、0.7mm。
    糸鋸の刃は、通常の木工用のものではなく、ジュエリーなどの金属精密加工用のものを使用。細かい加工が可能だが、慣れが必要。

  • pic03

    工程3:切ったパーツのポディショニング。ベースとなる木目に合わせて文字をレイアウト。

  • pic04

    工程4:0.7mmの板を嵌め込むため、デザインに合わせ、切り出しや彫刻刀で0.6mmほど彫り下げる。その後、膠で接着。

  • pic05

    工程5:縫製用の下穴も金属加工用のルーターで穴あけ加工。

  • pic06

    工程6:実際の厚みより薄くシャープに感じるよう、端の部分をテーパー加工。緩やかにアールを施す。シャープ且つ、厚み分の強度もある。

  • pic07

    工程7:Gommalacca(セラックニス)を用い、磨きのベースをつくり蜜蝋で磨き上げ。ベースができているため、革用のミンクオイルなどでも磨きが可能。

  • pic01

    工程1:各パーツに裁断。縫い合わせ準備。

  • pic02

    工程2:冠(かぶせ)裏がつく箇所がコバが厚くなるため、革漉きを施し、厚みを調整。

  • pic03

    工程3:それぞれのパーツを重ね合わせ、数ミリ余った革を革包丁を使い、裁ち落とす。

  • pic04

    工程4:冠部分をミシンで縫製。

  • pic05

    工程5:本体パーツの曲面部分を2本針で縫っていく。

  • pic06

    工程6:下縫い後、糸を締めていく。

  • pic07

    工程7:本体パーツの組み上げ完成。

  • pic08

    工程8:ステッチが小銭と当たり、摩耗するのを防ぐため、革を裏張りし、覆って隠す。

  • pic09

    工程9:糸に蜜蝋を塗り、本体とZOUGANパーを張り合わせ、手縫いで接合。

  • pic10

    工程10:手縫い後、木製パーツからはみ出た革を包丁で裁ち落とす。

  • pic11

    工程11:コバに顔料を5回ほど塗り重ねていく。

  • pic12

    工程12:コバ面を磨いて完成。

Takafumi Mochizuki Interview

今回のお取組みのきっかけ、チャレンジしていただけることになった理由を教えていただけますでしょうか?
以前からPitti Uomoの会場に出展されている際にいろいろとお話はさせていただいていました。
ガルーシャなどの癖のある革もうまく扱われているのを知っていたので自分が少しずつやり始めていた木と革の小物でコラボレーションしてみたいと思いサンプルなどを見ていただきました。お互いに様々な可能性を感じて面白いモノが出来るのではということになり今回の企画に至りました。
特に苦労した、もしくは大変だった点を教えてください。
コラボレーションをするにあたって、木象嵌という技術でどんな表現が出来るかを知っていただくことに苦心しました。どこまで細かい細工が出来るか?色はどのようなモノがあるか?など少しずつサンプルや作品例などを 見ていただき情報を共有していきました。
型紙を作るにあたって、象嵌パーツに合った木型を作成し何度か試作品を作りながら、完成形に近づけていったこと。 特に曲面部分のステッチの穴の間隔が外径と内径で距離が変わるので、苦労しました。他の業務との掛け持ちもあったので、構想からサンプル完成まで約4ヶ月かかりました。
長く使うために注意すること、メンテナンス方法でユーザーに伝えたい事はありますでしょうか?
天然のセラックニスでベースをつくり、その上に蜜蝋で塗膜をつくっています。通常は柔らかめの布で乾拭きをしていただくと艶が戻ります。 夏場など湿気の多い時期は、予め革用のミンクオイルなどを軽く塗ることで水分が入るのを抑えることができ、艶が長持ちします。革は乾拭きがメインで、革の状態を見て、乾燥しているようであれば、保革クリームなどを塗り、ブラッシングを行いメンテナンスをしてください。
象嵌の魅力を教えてください。
ヨーロッパの人たちは昔から家具や小箱にイニシャルなどを象嵌することによって、より個性的なデザインを楽しんできました。今でもそういったモノが多く残っており、長く時間が経つことによって得たパティーヌ(経年変化による自然な古色、艶)はとても魅力的です。 長く残されてきた実績を持つ今では数少ない技術の一つ。革とはまた違った木の触感とともにお楽しみいただければと思います。
望月 貴文

望月 貴文 Takafumi Mochizuki

1979年
東京都足立区生まれ
2003年
家具メーカー/AD CORE DEVISE INC.入社
2007年
AD CORE DEVISE INC.退社後
アンティーク家具修復を学ぶために
イタリア・フィレンツェへ
2008年
アンティーク家具修復工房「Renato Olivastri」にて
家具修復・木象嵌細工を学ぶ
2014年
Firenzeでは唯一の木象嵌細工専門の工房
“Zouganista di Takafumi Mochizuki”をオープン
2015年
インテリア雑誌「AD / Italia版」の
「 今のインテリアを変える40歳以下の20人のクリエイター」に選出

COLLABORATION ITEM

COLLABORATION
小銭入れ
GANZO本店にて、パターンオーダー受付中
アルファベット1文字 (A-Z)と革素材、木、ステッチをお選び頂きます。 ※ オーダー状況により納期が異なる場合がありますので、詳細は店頭でお問い合わせください。
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