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Yasushi Fujimono meets GANZO

対談“日本の物作り”について語ろう Yasushi Fujimono meets GANZO

日本発のハイクオリティなレザーブランド、『GANZO』。世界中の優れたレザー素材を使用し、熟練した日本の職人が丹念に裁断・縫製することで仕上げるシンプルで洗練されたアイテムは、国内のみならず海外からも注目されている。そんなGANZOの魅力をディレクターの味岡儀郎氏と一流のクリエイターたちとの対談から探っていくこの連載。第2回はアートディレクターの藤本やすし氏にご登場いただいた。プロダクトデザインとエディトリアルデザイン、フィールドは違えど、物作りに対する強いこだわりと情熱を持った二人。デザイン談義にも花が咲いた。アートディレクター・藤本やすし(以下、藤本)/GANZOディレクター・味岡儀郎(以下、味岡)

個性を打ち出すことでブランド力が生まれる

味岡
藤本さんは私よりも7つお歳が上になられるんですね。私たちもそうですが、藤本さんくらいの世代だとアメリカの影響を強く受けていらっしゃるんじゃないでしょうか。
藤本
そうですね。昔はテレビでやっている西部劇が大好きでよく観ていましたね。あとは戦争ものとか。だからいまでもミリタリー系のファッションが好きなんですよ。
味岡
お仕事の面でもアメリカの影響は受けられましたか?
藤本
そうですね。モロに影響を受けています。50年代くらいのアメリカの大判雑誌のデザインには、かなりインスピレーションをいただいています。ただ、欧米ではアルファベットしか使わないのに対して、日本では漢字、ひらがな、カタカナなど色んな文字の要素があります。海外雑誌のデザインの影響を受けながらも、それを日本の文化的な環境に合わせて落とし込んでいった感じですね。
個性を打ち出すことでブランド力が生まれる

ワインにハマっており、最近、ソムリエ資格まで取得したという藤本氏。イタリアンの料理人でもある味岡氏とワイン談義にも花が咲いた。

味岡
海外からの影響という点では、GANZOも欧米のレザーブランドのアイテムから随分勉強させてもらいました。実は私は昔、イタリアンのシェフをしていて、イタリアで6年程修業していたんです。その時に色んなお店に食べに行っては、色んな味付けや素材の組み合わせを体験し、それを自分なりにアレンジしていった。GANZOのアイテムもそれと同様に、海外ブランドに触発されながらGANZOらしさ、日本らしさを表現しています。
藤本
なるほど。初めてこのバッグ(GUIDIブリーフケース)を見た時に、“こんなセクシーなバッグがあるんだな”って驚いたんですよ。
味岡
セクシーという表現をしていただいたのは初めてです。
藤本
ええ。セクシーで自信にあふれたデザインだなと。ここまで装飾がなくてベーシックなものを作るのは、よほど自信と勇気がないと無理だと思うんです。普通はどうしても何か飾りを付けたくなるもんです。
味岡
マーケティング的にはストラップを付けたり、アウトポケットを付けたり、機能性を付加した方がいいのかもしれませんが…。
藤本
僕の場合もちょっと攻めたデザインをするとクライアントから“こんなデザインの雑誌じゃ売れないよ”なんて言われることがあるんです。だけど、ただマーケティングを意識するだけじゃなく、たまには冒険して個性を出していかないとブランド力が付いてこないんですよ。マーケティングばかり意識すると、どうしても無個性になってしまう。せっかくの個性を捨ててしまうのはもったいないじゃないですか。もちろん、読者にとっての読みやすさについてはしっかり考慮します。そうした機能面と個性のバランスを上手く取っていくことが、ブランディングに繋がる気がします。その点、このバッグは使い勝手もいいうえに、“シンプルさ”という個性で勝負している。“このブランドは成功するな”と感じましたね。
味岡
そうおっしゃっていただけると有難いです。確かに私の中でも自分のやりたいこととユーザーが望むであろうものとのせめぎ合いはありますね。
藤本
これからも味岡さんならではのヤンチャな個性を通していかれた方がいいと思いますよ。

手仕事と経年変化が生み出す“味”に惹かれる

味岡
藤本さんは普段からカジュアルなスタイルがお好きなんですね。
藤本
そうですね。常にキャップをかぶって、足元はスニーカーというスタイルですね。身体が華奢なので服はちょっとゆったりめのシルエットのものが好きなんです。あとはシワ感があったり、味のあるアイテムが好きですね。
味岡
私から見ると藤本さんの世代は、ファッションのハズシを初めて取り入れた世代だと認識しているんですが。
藤本
僕はアイビーファッションの流行もポパイのブームも経験していますが、本来アイビー自体、学生のハズシファッションだったものですよね。それが定型化してきたことで、あえて壊そうとする人が出てきたんじゃないでしょうか。
味岡
ヴィンテージ感のあるアイテムもお好きだとか?
藤本
洋服のシワ感もそうですけど、素材の風合いが出ているものが好きなんです。例えばレザーにしても、10年、20年と使い込まれて味が出てきたものにはとても惹かれます。
味岡
料理人の使い込んだ包丁も何度も研がれているうちに小さくなってきちゃうんです。でも、それが持ち主の“カタチ”なんですね。そうやって“使う人のものになっていく”のはとても魅力的なことですよね。
藤本
GANZOのアイテムも使っていけばいい味が出そうですね。
味岡
やはり長く使っていただくために素材を厳選していますから。少々キズが付いたり、色が変わったりしてもいいんです。使いながら経年変化して、使う人のものになってもらえれば。
藤本
GANZOのアイテムはすべて国産だそうですね。
味岡
はい。日本の職人の技術を継承していくこともGANZOの役割のひとつだと思っていますので。日本の職人技は確かに優秀でとても細かく正確な仕事ができるんです。ただ、ものの魅力ってそれだけではないように思うんですね。例えば、日本料理は盛り付けもとても整っていて美しい。一方、イタリアの田舎料理なんかはわりと適当に盛り付けているんですが、それがかえって美味しそうに見える。レザー製品でも海外ものはどこかそういう隙があって、それが味になっているんです。手作りならではの味というか。GANZOのアイテムでもそういう雰囲気を出せるように努力しています。
藤本
そうですね。ヴィンテージアイテムに感じる雰囲気の良さもそういう昔ならではの手仕事の味わいにあるんでしょうね。このバッグもかっちり作られてはいますが、ハンドメイドの味は感じられますよ。そのせいか、持ってみるとスニーカーを履いたカジュアルなスタイルでも案外違和感がないんです。
味岡
使い込んで経年変化していけばもっとマッチしてくると思います。
藤本
同じものを買い続ける人っているじゃないですか。“このバッグ、もう3個目だよ”みたいな感じで。ああいうのに憧れるんですよ。その使い勝手に馴染んでしまって他に浮気できないような。このバッグにはそうなりそうな感じがありますね。
味岡
そういう流行に左右されないタイムレスなものを作っていきたいので、そう思っていただけるととても嬉しいです。
手仕事と経年変化が生み出す“味”に惹かれる

透明感と深みのある色合い、ヴィンテージのようなムラ感が特徴のイタリア製の牛革を贅沢に使用したGUIDIブリーフケース。丸胴タイプを採用し、下部には切り目仕上げをほどこすことでGANZOらしいたたずまいに仕上がっている。シンプルなルックスながら内部にはスマートフォンを収納可能なポケットやファスナーポケットなど計4室のポケットとペン挿しを備えており、さらにスナップボタンでマチ幅を調節できるなど機能性も高い。「ハンドル部分の武骨な金具がよりセクシーさを際立たせていますね」

Yasushi Fujimono × Yoshiro Ajioka

ふじもとやすし
ふじもとやすし/1950年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、平凡社に勤務。その後、1983年に独立してデザイン事務所「CAP」を設立。現在、「VOGUE JAPAN」「BRUTUS」「Casa BRUTUS」などの雑誌やファッション広告のディレクション、デザインを手掛ける。また、フリーマガジン「ROCKET」を発行していることでも知られる
あじおかよしろう
あじおかよしろう/1957年生まれ、東京都出身。料理人を目指してイタリア修業した後、東京でレストランをオープン。その後、1999年に上質な革と職人の手によるジャパンメイドにこだわったレザーブランドGANZOを立ち上げ、ディレクターを務める
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